映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」公式サイト » 監督のことば

佐古忠彦

前作「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」の公開から半年が経った2018年2月、私は、230冊以上に及ぶ瀬長亀次郎の日記に再び向き合い始めていた。いったん区切りを迎えたはずの取材だったが、まだまだ広く深いカメジローの世界から離れられないでいた。ずっと心に引っかかっていた、前作を鑑賞してくださったお客様の数々の言葉がある。

「家庭でのカメジローの顔を知りたい」
「どうして、こんなに不屈の精神を宿すに至ったのか?」

こういう声もあった。「かっこいいカメジローは分かった。かっこ悪いカメジローもみてみたい」つまり、闘う不屈の男だけでなく、まさに“人間”カメジローをもっと見たいということなのだろう。

次女・千尋さんは、父・亀次郎の日記を発見したときの感想を、「沖縄の戦後史が詰まっている」と語ったが、そこには、それに加え、家族の歩み、亀次郎の本音、知られざる素顔が隠されている。そんな前作には盛り込めなかった素顔のカメジローへのアプローチは、「米軍が最も恐れた男」の実像をさらに浮き彫りにすることになった。

 もちろん、闘うカメジローも健在である。那覇市長を追放された後も、米軍との不屈の闘いは続いた。それは民衆の自治を求める闘いに結び付き、民主主義を勝ち取る闘いとして記憶されていく。

「この沖縄の大地は、再び戦場となることを拒否する!基地となることを拒否する!」

前作でご覧いただいた、国会論戦で時の首相に激しくぶつかっていった亀次郎の姿に、多くの人が快哉を叫んだが、その魂の言葉を生みだした原点も日記に残されていた。亀次郎は、何のためにこれほど不屈に一本の道を歩み続けたのか。その先に何があったのか。沖縄の歴史と亀次郎の言葉が、その答えを導き出す。そして、それは、後世へのメッセージとなって語りかけてくる。

佐古監督 PROFILE

――1988年
東京放送(TBS)入社

――1996年~2006年
筑紫哲也NEWS23

――2006年~2010年
政治部

――2010年~2011年
Nスタ

――2014年~2017年
報道LIVEあさチャン!サタデー Nスタニューズアイ

――2013年~
報道の魂(現 JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス)プロデューサー

近年の作品
――2013年
「生きろ~戦場に残した伝言」

――2014年
「生きろ~異色の司令官が伝えたこと」
「茜雲の彼方へ~最後の特攻隊長の決断」

――2015年
「戦後70年 千の証言スペシャル 戦場写真が語る沖縄戦・隠された真実」

――2016年
報道の魂SP「米軍が最も恐れた男~あなたはカメジローを知っていますか」

――2017年
映画『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』